中世の古城が舞台のマクベス

能登演劇堂ロングラン公演のマクベスを観に、去る10月19日、能登七尾へ行って来ました。
ご存知、無名塾を主宰する仲代達矢が惚れ込んだ七尾という風土と市民の情熱に支えられて、
誕生したこの演劇堂は、大自然をもみかたにつけた壮大なスケールが見ものです。

http://engekido.com/index.html



c0203121_337141.jpg舞台の奥の扉が開くと、遥か彼方にまで広がる森が、グリーンの光りを放ち、
目に飛びこんできます。本物の馬に跨った仲代達矢演じるマクベスが登場!

さらに、美しいS字を描きながら、雄大な景色に溶け込んだような勇姿で、若き
騎士たちが、次々と現われて、自分が観客席にいることすら忘れるほどの迫力でエキストラの地元高校生等や、無名塾の若人がそれに続きます。

きっと、この観音開きの扉が開いた瞬間は、最前列の客席の人たちは、外気の
冷たい空気を顔に浴びて、古城独特のヒンヤリした大理石の匂いや深い森の
森林浴の風が頬に、中世の香りを連れてきてくれているかもしれません。

そんな想いを胸に抱き、七尾に住む加賀友禅染め作家の志田弘子さんと私は、
シェクスピアの描いた愛と野望の悲劇に魅了されていきました。同様に、今回の
感動は、この他にも私の別のブログ2つにもそれぞれのテーマで描いています。
http://myclematis.exblog.jp/
http://poesie-may.cocolog-nifty.com/poem/

マクベス夫人役の若村麻由美さんが、怯えるマクベス役の仲代達矢さんの顔を眺めて
「あなたの顔って、本のようですこと。顔に全て書いてあるわ…」と、言いながら夫の
頬をなでるシーンには、思わず、この台詞頂き!と想えたほど。このようにシェイクスピアの
台本は、ウイットに富んだ人間味のあるそれでいて、誰も表現したことのないような台詞で
溢れていました。この台詞に、香りをつけるとしたら、暗殺を唆す魔女の呪文のように、
古城の黴臭い、人間の体温も凍らせるような、黄泉の国への誘いの香りでしょうか…。

あなたなら、どんな魔法の香水を、マクベス夫人の白く妖しく光る肌にふりかけるかしら?
時は11世紀の半ば。イギリスにある、スコットランドの地。王冠を手に入れるために、
血なまぐさい戦いと、近道を急ぎ、マクベスは、やがて自ら滅びるのですが、ね。

私なら、この舞台に、似つかわしくない甘い薔薇の花びらを一面に撒き散らし、マクベスと
マクベス夫人の穢れた手に、真っ赤な葡萄酒のワイングラスを握らせてあげるでしょう。
罪と罰は、背中あわせ。人間の常識も裏を返せば非常識。いいは悪いで悪いは、いい。

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by aroma-createur | 2009-11-01 03:27 | 文化・芸術