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ウィーンにつながる、憧れ。

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ウィーンと言って、果たして日本人は、何を思い浮かべるだろうか?少女の頃の私なら、きっとあの美少年たちがボーイソプラノで歌うウィーン少年合唱団だっただろう。今も昔も、音楽や芸術を志す者にとって、ウィーンは憧れの国に違いない。その憧れのウィーンで、しかも、毎年ニューイヤーコンサートが開かれる「ウィーン楽友協会大ホール」あの黄金の間で、私の中学時代からの親友・Kさんがコーラスで2010年1月10日桧舞台に立つと聞いてから、今年のお正月はひと味もふた味も違った想いでテレビ画面のニューイヤーコンサートに魅入った。




同会場は、毎年衛星中継で世界中の国の人たちが魅入るニューイヤーコンサートの晴れ舞台だ。幼い頃からピアノを習っていたKさんに解説によると、その年の世界中のオーケストラのピッチが決まるコンサートだとか。(演奏前にバイオリンなど弦の音の高さを合わせる。そのAの音高を440Hzとするなどが、ここで決定するという)。http://wien-jp.com/wien-jp/musik-v.php

Kさんは現在、東京でピアノ講師をしている。コーラスは趣味で始めたから、プロではない。たまたま、師と仰いだ先生がよかったからか、彼女の強運からか、コーラスでこの桧舞台に立つ夢のようなチャンスに恵まれた。彼女が、どんな想いでこの舞台に立ち、歌声を響かせて来たかは、音楽を愛し、ピアノを弾き続けて来た少女期を知っているだけに、私は自分のことのように感激し、今年のニューイヤーコンサートの画面に、彼女の姿を思い浮かべて感涙してた。


ウィーンにつながる、憧れ。_c0203121_312234.jpgその彼女から、旅立つ朝にメールが届いた。それで、思い切って私は、Kさんに、あるおねだりをした。かねてより憧れの画家、クリムトの【接吻】の絵画が、ウィーンの美術館にある。門外不出だから、せめて私の代わりに原画をあなたの瞳で見てきて!!と。それは、彼女が桧舞台に立つ、大ホールの近くにある豪華な宮殿の中にある美術館だったこと、しかも、彼女たちコーラス団員のフリータイムは舞台が終えた翌日の月曜日だけ。その月曜日はすべての美術館の休館日と重なり、がっかり。しょげていたら、なんと、私が熱望してたクリムトの【接吻】があるギャラリーだけが、開いていたというのだから、驚き!だった。館長さんが近年女性に代わったことで、休館日が変更していたらしく、ゆっくり観賞できたと後日聴き、またまた感涙。私の熱い想いが、ウィーンまで届き、重い扉を開かせたのかもしれないわねとふたりで中学生の時のように受話器越しで談笑した。

初めて、あの黄金のホールのステージに立ち、「リハーサルの間に天井の絵を見ていると、なんだかとても懐かしく、やっとここに帰って来た!ような不思議な感情が込み上げてきて、涙が溢れてきました。」とKさんからのメール文に、なんだか、無性に私も同じ感情が湧き、うれし涙がこぼれてきた。あのホールは、どんな匂いがしただろか?雪景色のウィーンの街並み。多くの音楽家たちがこの舞台で世界一の響きを披露したであろう黄金の空間。その快感が、行ったことのない私にまでも伝わり、一体感になれた幸せに感謝せずにはいられない。



ウィーンにつながる、憧れ。_c0203121_331325.jpg★接吻(せっぷん、The Kiss、Der kuβ)は、帝政オーストリアの画家グスタフ・クリムトが1907年から1908年にかけて描いた油絵。180 × 180 cm、キャンバスに油彩。
現在はベルヴェデーレ宮殿オーストリア絵画館(オーストリア・ギャラリー)に収蔵されている。
クリムト自身と恋人エミーリエ・フレーゲがモデルとされ、1908年の総合芸術展「クンストシャウ」(ウィーン)で大好評を博し、展覧会終了と同時にオーストリア政府に買い上げられた。 クリムトの代表作のひとつである。

by aroma-createur | 2010-02-02 03:06 | 文化・芸術